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そんブログ

梅を訪ねて園3

何故十郎梅に拘るか?

それは食べる人が食べてみれば解ると思うのだが、他の梅に比べて独特なフルーティな香りで皮が薄くて柔らかく繊維がきめ細かくねっとりと舌触りも良い、種も比較的小さめで果肉部が多くアクが少ない(南高などの品種はアク抜きが必要)という正に漬け物用の品種というのがこの十郎なのだ。

東京都内の八百屋は梅のことなど教えてくれないというか多分知らずに売っている八百屋が多い。前述した様に紀州で有名な南高はアク抜きが必要であり梅ジュースにも梅干しにも向くが、この辺りで売られている殆どの梅の品種は上州産の白加賀という梅で皮は厚く果肉は硬く種は比較的大きくアク抜きが必要で主に梅ジュース用である。自分も最初はこの白加賀で梅干しにしていたのだが、十郎梅干しが貴婦人の唇とするならば白加賀梅干しは野暮ったいおばさまの様だった‥ という印象が残っている。

一昨年前のこと滋賀県の知人を訪ねたのだが琵琶湖付近の道の駅で塩を吹いた梅干しが売られていたので購入し味見してみて驚いた。この福井産の梅干しが十郎梅によく似ていたのだ! 道の駅に戻って売り子のおばさまに聞いてみるも梅の種類までは判明せずだったが「いつか日本中の梅の梅干しやってくってみたい!」と眠っていた野望がこの時芽生えたのだった。

潮吹き梅干し

ちょいとエッチなニュアンスではあるが琵琶湖の道の駅で見つけた塩吹き梅干し、これは今時の軟弱な健康志向減塩仕込みの梅干しではこうはならない。梅の重量の18%から20%で漬けた梅干しじゃないとこうやって天日干し後の梅の表面に塩は吹かない。小田原の大雄山駅前売られていた梅干しもそうだったし自分が仕込んでいる梅干しもこの潮吹き梅干しに仕上がる。 

この潮吹き梅干し、ただやたらに塩を増やして仕込めば良いというのではなく、大事なのは漬け物用の品種の梅を選ぶ事である。今年メルカリで福井梅を見つけて5キロ程購入した。品種は紅映(べにさし)でやや小ぶりなサイズだったが塩分20%で男らしく漬けてみた。

さてさて琵琶湖の道の駅で売っていた品種と同じかどうかは干して見てのお楽しみであります。

<つづく>